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ダイエッターのための高度不飽和脂肪酸の働き

肥満の原因は遺伝的および環境的要因に起因すると考えられていますが、近年の肥満の世界的増加は活動量の低下や食生活の変化等の環境的要因が大きく影響していると考えられています。
食事成分の中で糖質や脂質の過剰摂取は肥満を誘導し、とくに食事中の脂質摂取量の増加が肥満のリスクと相関することが多く報告されています。
したがって肥満のリスク低減には適正な脂質摂取量を維持することが重要と考えられます。
しかしながら、飽食の現代においてそれは実現が難しいともいえますし、逆に摂取量に拘りすぎて極端に摂取抑制された場合には生体への悪影響が懸念されもします。
よって脂質の摂取量だけでなく、その特性に着目することは肥満の予防・改善方法の一つとして非常に重要になっていきます。

「共役脂肪酸」や「オメガ3型脂肪酸」の抗肥満作用機序とは?

脂質の特性は主構成成分である脂肪酸の結合数・部位の違いや種類の違い(鎖長・分子内の炭素一炭素間結合に存在する二重結合の有無、数、位置、等)に強く依存すると言われています。
脂肪酸の種類の違いに関しては、とくに分子内に二重結合を複数有する高度不飽和脂肪酸には多くの生理作用が知られ、その中で抗肥満作用に関しては「共役脂肪酸」や「オメガ3型脂肪酸」を用いた報告が多く存在します。
この「共役脂肪酸」や「オメガ3型脂肪酸」の抗肥満作用機序に関して簡単にまとめてみると、①エネルギー消費への影響、脂質代謝への影響、脂肪細胞への影響、神経内分泌系への影響等があります。
今回はそんな「高度不飽和脂肪酸」の働きについて考えてみました。

CLAが脂肪酸酸化活性を亢進する!

ウエストらは共役脂肪酸(以下CLA)含有食を摂取(35日間)させることにより対照マウス(コーン油)に比べ体脂肪量増加が抑制されること、エネルギー消費が亢進することからCLAの抗肥満作用は継続的なエネルギー消費亢進に起因すると報告しています。
一方でエネルギー消費に影響を与えるun-coupling-protein(UCP)への影響に関しては、マウス肝臓および脂肪組織でレイダーらがラットの腓腹筋および脂肪組織でそれぞれCLA摂取によるUCP2mRNA発現亢進を報告しています。
これらはCLAがエネルギー消費に大きく関与していることを示唆しています。

CLAの脂質分解への影響に関してはエバンスらがCLAが脂肪酸酸化活性を亢進する事を報告、また脂肪酸酸化関連酵素であるCPT-1活性はCLA含有食を摂取したラットの肝臓および脂肪組織、ラットの肝臓マウスの脂肪組織でそれぞれ亢進することが報告されています。
脂質合成への影響に関しては、CLA含有食を摂取したマウス脂肪組織において脂肪酸合成関連酵素であるfattyacid-synthase(FAS)およびACCのmRNA発現抑制が確認されています。
またハムスターやラットを用いた検討で、CLA含有食摂取による肝臓や脂肪組織でのFASやACCの活性抑制やmRNA発現抑制が確認されています。
stearoyl-CoAdesaturase1(scD1)への影響に関してはCLAの含有量依存的なmRNA発現抑制および細胞内脂肪滴小型化を報告しています。
脂肪酸合成に関与する転写因子であるsterol-regulatoryelement-bindingprotein1(SREBP1)への影響に関しては、ウォングらがCLA含有食を摂取したラット肝臓のmRNA発現抑制を報告しています。
これらの報告はCLAの脂肪燃焼作用を示唆するものになります。

CLAの抗肥満作用機序の一つとして摂食抑制作用の可能性がある。

血液中の中性脂肪等を加水分解し脂肪細胞中の脂肪酸量に影響を与えることを考えられるlipo-proteinlipase(LPL)へのCLAの影響についてはCLA添加によるLPL活性抑制作用が報告されています。
またマウスを用いた検討においても、CLA含有食摂取により脂肪組織LPLのmRNA発現抑制が報告されています。
一方、CLA自体に脂肪細胞のアポトーシス誘導作用が報告されています。
さらにエネルギー代謝・肥満・インスリン感受性等に影響を与えるレプチンやアディポネクチンへのCLAの影響に関しては、CLA添加後に細胞のレプチンmRNA発現が抑制すること、CLA含有食摂取後のラットの血中レプチン濃度が低下し、ラットの血中アディポネクチン濃度が上昇すること等がそれぞれ報告されている。

大貫らの研究ではマウスを用いた検討では、CLA含有食摂取によるエネルギー消費亢進と共に血中アドレナリンおよびノルアドレナリン濃度上昇が認められたことから、CLAによるエネルギー消費亢進への交感神経系の関与を示唆しています。
一方カオらの研究報告ではCLAの摂食行動への影響について、ラット脳室内へのCLAの直接投与により摂食抑制と視床下部弓状核の摂食促進ペプチドであるneuro-peptidesやagouti-relatedproteinのmRNA発現抑制が確認されたことからCLAの抗肥満作用機序の一つとして摂食抑制作用の可能性を報告しているものもあります。

これらの報告からもエネルギー代謝の亢進や抗肥満作用としてのCLAの効果というものが示唆されています。
ぜひ、ダイエットを目指す際にはCLAなどの「高度不飽和脂肪酸」などの摂取をしてみてはいかがでしょうか?

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